母と私の奇跡の介添えストーリー#6  


「壊れちゃった私と…父」

2021年7月友引     

今日は若い主治医と顔を合わせる日。

病院慣れしてない母と私は受付に封書のカルテを渡し忘れた。

今更だが病院のシステムで診察1時間前に来院し検査することをいま知った。

検査室に行く時、母は…

母:「また血を取るの?体重が減っちゃうよ。」

母と私、命を延ばすことが目的で病気を治すことを考えていない。

しかし、若い主治医は…

医師:「あまり数値が変わってませんね」

母:「薬飲むと食べれなくなって体重が減っちゃうんです。」

医師「それはこの前を言ってましたよね。」

母:「…申し訳ございません」

医師:「前の医師が処方した薬は飲めて食欲でたのに、私が処方した同じ薬はなぜ飲めないのですか?」

母:「…申し訳ございません。」

医師:(レントゲンみながら)
   「肺に菌が住み着いているので薬の内容を変えます。今度は二週間後に様子をみましょう。帰りに痰の検査してください。」

母と私、顔を見合わせた。

また、検査するのか…病院は待ち時間が長すぎます。
  
私:「先生が真面目過ぎる!」

母:「また検査…痰も尿も出ないよ…」

母のタイミングをみながら無事に検査を済ませ病院を後にした。

若い主治医は柔らかさが足りない、年寄りの気持ちを理解できず、事務的。

なんとかならないものか…


2021年7月先負

今日の母は顔つきが豊かである。

薬も真面目に飲んでいるし、好きなものを積極的に食べている。

生きる欲がでたのか、歯科や眼科の付き添いが増えた。

私は母の笑顔を見れるだけで幸せだった。

しかし、問題が浮上歯を一本抜くだけなのに、

薬を飲んでるせいでかかりつけの病院で治療ができない。

歩くのがやっとなのに面倒が増えてしまった。

薬を飲まず生活ができるならそれは幸せなことで感謝である。


2021年7月仏滅

今日の母は意欲的。

整形外科で注射を打ち、眼科で薬をもらってきた。

生きる目標がみつかったのか微笑ましい。

人間の脳内は都合よく収縮作用することを知ってたので、母との会話は注意深く丁寧に交わしている。

どこかの番組でこんなこと言ってた。

人間は神様から与えられたカリキュラムがあってそれをこなすのだという。

母は毎朝、仏壇の前で精神統一のため、お経を暗記し唱えている。

母:「お前もお経覚えたら?」

私:「私はみんなに守られているから大丈夫よ」

母:「そっか…」

私は、一旦母から離れて仕事に戻った。

この後、小さな出来事に取り返しのつかない苦境に私は追い込まれた。

昨日作ったお客様用のデザートを確認すると、無惨な形に変化していた。

私は父に問いただすとこう言ってきた。

父:「冷蔵庫の掃除して戻すのを忘れた」

言い訳を並べてきた。

私はただ「ごめんね」

その一言が欲しい。

父は悪いことしたと分かっているだろう。

私:「この壊れたデザート、どうするの!」

父:「オレが買った素材だからお客さんに振る舞えばいいじゃないか!」

私:「その前に私に何か言うことあるでしょ!」

父は黙っている。

興奮が止まらない私は問い続けた。

依然黙ったまま、私を見ている。

私:「なんでわからないの!どうして言えないの?お父さんがいつも悪いのに私がいつだって悪者じゃないか!もう大嫌いだ!顔も見たくない!」

私の怒りは頂点に達して、父の人間性に嫌気をさした。

母のいるリビングへ…

母:「父さんの代わりに私が謝るよ…」

私:「もう限界だよ…お母さん。」

急に私は具合が悪くなり、食欲もなくなった。

居た堪まれず仕事を放棄した。


2021年7月大安     

私は昨日のこともあって朝から優れない。

しかし、母の様子が気になるのて

顔をだしてみた。

母:「なにもできなくてごめんね。」

私:「お母さん、何もできなくてもいい、生きてさえすればいいよ。」

母は私の顔をじっと見てこう言った。

母:「オレはな…布団の中で泣いてるんだよ」

私:「お母さん、私も泣いてるよ…」

切なくて、苦しい、なんのために

このような経験をするのだろうか。