母と私の奇跡の介添えストーリー#8

「母が差し出すその手は… 孫への生き金」


2021年8月 先負      

リモート授業で家にいる大学生の息子のパソコンが突然壊れた。

買ってまだ1年半、大切に使ってたのに故障の原因が全くわからない。

パソコン業者に尋ねたら修理費が数万円。

手持ちに余裕がない。

声のトーンは落ち精神的衝撃が隠せない。

その頃、母と私はこの先の未来を考えてた。

実家の仕事は私にとって障害になってきた。

母と散歩、食事、病院の付き添いなど母と過ごすを時間大切にしたい。


「そろそろ… 実家の仕事を退こう。」

皆んなに辞職の理由を伝えた。

父は私を馬鹿にした素振りだった。

従業員は事情を理解してくれてるので快く受け入れた。

父に母が何を感じ何をしたいのかを伝えると初めて聞く顔をした。


私:「お母さんは海もみたいし、お美味しい料理も食べたい。」
  「何より外の空気に触れたいんだよ。」
  「今、家にいることはお母さんが望んでる幸せじゃないよ。」

父:「そんなこと言ってるのか…」

私:「一緒に暮らしててそんなこともわからなかったの?」

父:「車から外を眺めて何が楽しいんだ」

私は絶句した。

感覚を理解できない父に説明するだけ無駄である。

父には感謝してるが、人間力が欠如していることが悲しい。

お昼、母に大学生の息子の話をした。

本来なら大学生活を楽しんでるはずなのにコロナ禍で家で課題をやり、

ひとりで昼食を食べている。

大学に来ていく為の服を揃えても袖を通すことはなく、

またやりたいことが見つかり取り掛かろうとした途端、

パソコンが壊れた。

このことを伝えると母は…

母:「私の年金でパソコン買ってやるから… いくらだ?大学で必要なんだろう?」

母は生き金を約束してくれた。

私はすぐに息子に伝えた。

安堵した息子は元気になった。

母はいつだって、自分より相手の心に寄り添い助けてくれる。

苦しいことに向き合ってきたからできることでしょう。