母と私の奇跡の介添えストーリー#11
2021年9月仏滅
母の起床時刻が遅くなってきた。
昼過ぎに実家に着くと…
母:「今日はどうして遅いの?」
私:「朝から雨が降ってるし、お母さん、起きるの遅いじゃない。」
私を待っててくれたことが嬉しかった。
母の田舎は新潟で自分のことをオレと言う。
母:「オレね、びっくりすること言うよ!」
私:「何、どうしたの?」
母:「オレ、ラーメンが食べたい!」
私:「コッテリしてる方の?」
母:「うん、好きじゃないけど食べたい」
食べる欲がない人が食べたいと言うのならテイクアウトするしかない。
早速、待ち侘びてたラーメンを口にすると、
母:「あぁ、好きじゃない味だ。やっぱり中華そばだなぁ。」
だけど…満足そうである。
麺は残したが、スープは減っていた。
母をみてると、心で食してるようだ。
食後母が、今飲んでる薬をやめたいと言ってきた、いつもの癖がでてきた。
専門医もそのことは前から指摘している。
だが、今の体重は基準以下で気力で生きている。
目を瞑ってる時間は12時間を超え、会話はいくらもしない。
身体の中が薬でいっぱいになるのが耐えられないようだ。
私は帰り母の様子を伝える為、親戚の叔母さん家に寄った。
叔母さんは父と一緒に市の介護保険の説明を聞きに付き添ってくれた人。
叔母さんは…
叔母:「仏になりたいなんておかしいよ、いまは長生きする時代なんだから、病気を治して食べて歩かなきゃダメだよ。」
「お年寄りはみんな死にたいっていうのは口癖なんだからさ。暗いよ、ネガティブだよ。」
私は叔母さんに生き方を否定されたみたいで悲しかった。
ここのいい人は、生きる本質がわかってない。
そして貧困な心の病に気付いてない人もいる。
弟:「母ちゃん、新しくベッド買ったんだから長生きしなきゃな。」
その言葉に私はガッカリした。
母の命が金額にされている。
この家の間取りは、2階が居住スペースで一階は店とリビダイニングになっている。
母:「ベッドがあったらもう一階に降りなくなるな…」
父:「いいじゃないか、転ぶ心配もなくなるしオレが買ったんだから!階段で転んだら大変なんだぞ!」
父の言葉は母を心配してるようには聞こえない。
父は自分の心配をしてる。
ある日、父は母が大切してる器を割った。
父は黙ったまま…
母が大事にしていたものに「ごめん」の一言がない。
母はもう悲しみを通り越している。
母:「器は割れる為にあるの、私も枯れてるからいいの。」
父:「オレの金で買ったんだから、割れてもいいんだよ!」
この父に嫌気が差す。
この事態を隠すように母を世話を焼いているが、
母は…
母:「もうオレのペースでやらせてくれ!ウザいんだよ!」
絞りだした低い声を荒げた。
慈愛の心を持たないこの父は母の叫びを簡単に忘れるのでしょうか。
母はこんな父と一緒に居たくないから仏になりたいのだろう。
そのことに気づけない父は幸せに違いない。
あぁ… 暮らす場所は空気が澄んでいて心が広い旦那様とご縁があったなら
母は長生きを望むのでしょう…
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